骨盤底筋トレーニングの失敗例 〜“頑張るほど固まる”のは、なぜか?

まじめにやっているのに、うまくいかない理由

骨盤底筋トレーニングに取り組む方の多くは、とても真面目です。

  • 毎日欠かさずやっている
  • 意識して締めている
  • 「効かせよう」と集中している

それにもかかわらず、

  • 効果がよく分からない
  • かえって違和感が出る
  • 姿勢が固くなる
  • 呼吸が浅くなる

こうした声が少なくありません。

実はこれらの多くは、
「頑張り方」が原因で起きています。

骨盤底筋運動を頑張りすぎて失敗してしまう方が少なくありません

失敗例①:「締める」ことに集中しすぎてしまう

骨盤底筋トレーニングというと、
「ギュッと締める」
「力を入れる」
というイメージが先行しがちです。

しかし、骨盤底筋の役割を思い出してください。

  • 内臓を支える
  • 排泄を調整する
  • 姿勢を安定させる

これらは、瞬間的な強い力ではなく、しなやかな反応と調整能力が求められる働きです。

強く締め続けると、
筋肉は防御的に固まり、
本来の柔軟な動きが失われてしまいます。

失敗例②:呼吸が止まってしまう

「しっかりやろう」とするほど、
無意識に呼吸を止めてしまう人はとても多いです。

しかし、骨盤底筋は呼吸と連動して働く筋肉

  • 呼吸が止まると、
  • 横隔膜が動かない
  • 骨盤底筋も動けない
  • 体幹の圧がうまく調整されない

という状態になります。

つまり、呼吸を止めてしまう方には

骨盤底筋を使おうとするほど、
骨盤底筋が使えなくなる

という矛盾が起こるのです。

失敗例③:お尻・太もも・お腹に力が入りすぎる

骨盤底筋は小さく、深い位置にある筋肉です。
そのため、意識しすぎると、

  • お尻を締める
  • 太ももに力が入る
  • 下腹を固める

といった代償動作(る動作を行う際、機能低下によって本来とは異なる部位の動作で補おうとすること)が起こりやすくなります。

これでは、

  • 骨盤底筋の感覚が分からなくなる
  • 体幹全体が固まる
  • 動作がぎこちなくなる

という悪循環に陥ります。

なぜ「頑張るほど固まる」のか?—— 身体の仕組みから考える

私たちの身体は、
「頑張る=力を入れる」状態が続くと、防御反応を起こす
という性質を持っています。

これは危険から身を守るための、
とても大切な反応です。

しかし、骨盤底筋のように
「自動調整」が求められる筋肉にとっては、

  • 常に力が入っている
  • 緊張が抜けない

という状態は、機能低下につながってしまいます。

本当に必要なのは“自動的に働く状態”をつくること

骨盤底筋が理想的に働いているとき、
そこに「頑張っている感覚」はほとんどありません。

  • 呼吸に合わせて自然に動く
  • 姿勢が変わると自動的に調整される
  • 意識しなくても支えが入る

これが、骨盤底筋が本来の役割を果たしている状態です。

「鍛える」よりも「感じて、整えて、任せる」

骨盤底筋トレーニングで大切なのは、

強く締めること

回数をこなすこと

ではありません。

大切なのは

呼吸を止めない

姿勢を整える

感覚を受け取る

力を抜く時間をつくる

そして、
骨盤底筋が“自動で働く環境”を用意してあげることです。

ひめトレが目指しているのは“頑張らない体幹ケア”

ひめトレは、
「骨盤底筋を鍛える器具」ではありません。

  • 座ることで感覚が入り
  • 呼吸と連動しやすくなり
  • 意識しすぎなくても
  • 骨盤底筋が働き出す

そんな状態をつくるための、身体教育のツールです。

「頑張らないのに、整ってくる」
これこそが、ひめトレの価値です。

椅子に座り、リラックスした呼吸でおこなうやさしい運動が「ひめトレ」です

まとめ:骨盤底筋は「任せたとき」に一番よく働く

骨盤底筋トレーニングがうまくいかないとき、
多くの場合、努力が足りないのではありません。

頑張りすぎているだけです。

力を抜き、呼吸を戻し、
脳と神経に適切な刺激を入れ
身体の反応を感じ取る。

そうしてはじめて、
骨盤底筋は本来の役割を取り戻します。

自動的に働く状態こそ、骨盤底筋トレーニングのゴール

次の記事では、
「自動的に働く体」を日常でどう育てるか
について、具体的な方法を解説していきます。