ストレートネック改善に効果的な体幹ケア〜ストレッチポール®︎〜

ストレートネックは、頭部が正常よりも前に出た状態です。これを放置するとさまざまなトラブルの原因となります。

そこでこの記事では、ストレートネックとは何か、そしてストレッチポールを使用した運動が改善に効果的な理由と、具体的な運動についてわかりやすくお伝えします。

ストレッチポールをお持ちの方はぜひご紹介するエクササイズを行ってストレートネックを改善してください。

この記事は石塚利光が監修しました。
日本コアコンディショニング協会副会長/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著)

1.ストレートネックとは何か

まずストレートネックとは何か、またデメリット、その原因について解説します。

左が通常で、右がストレートネックです。耳と肩の骨を結ぶ線で判断できます 

1−1.ストレートネックとは、首の骨がまっすぐになっている状態

ストレートネック比較

ストレートネックという言葉の通り首の骨の配列がまっすぐに変化している状態です。首の骨は、左の図の通りに正常であれば自然なカーブを作っています。それがいろいろな原因によってまっすぐな配列になってしまっています。正常より頭部が前に出ているので「頭部前方偏位」ともいいます。

頭の重さは通常4〜6kgあります。ボウリングの球でいうと9〜13ポンド程度ですから、持ったことのある人はかなりの重量であることがわかるでしょう。頭が前に出たり、うつむくことでその負担は増大します。研究では、30度で18kg、60度では27kgもの負荷になるとしています。

前傾することによる負担の増大
転載元:整骨院わかば http://s-wakaba.com/buikubi.html および http://m.voanews.com/a/2528284.html

ストレートネックそのものは、姿勢の一つであり疾患ではありません。病院でも治療を行ってくれません。「日頃の姿勢に注意しましょう」とアドバイスされることが一般的です。

1−2.ストレートネックは多くのトラブルの原因になる

それをヒトは首の7つの骨と筋肉で支えています。放置しておくと以下のトラブルが引き起こされる原因になります。

  • 見た目が悪い(悪い姿勢・フケて見える)
  • 肩や首がこる
  • 頭痛、眼精疲労、目のかすみ
  • 首が痛い、首が動かない
  • 頚椎症、椎間板症
  • 肩が上がらない、五十肩
  • 頭痛
  • 背痛、腰痛

このような症状が出ない方もいます。しかしご説明した通り、何らかのトラブルが今後生まれる可能性があります。

1−3.ストレートネックは何によって引き起こされているか

デスクワーク猫背

ストレートネックの姿勢をとっていることが最大の原因となりますが、首だけの問題ではなかったりします。以下に引き起こす原因について解説します。

作業姿勢やスマホのぞきこみ姿勢

上図のように首が前に出ている状態が長時間続くと、姿勢が固定されストレートネックになります。もっともストレートネックが引き起こされやすい原因です。

猫背姿勢

猫背は背中が後ろ方向に曲がって、バランスが後ろになってしまっている状態です。頭を前にすることで全体のバランスを取ろうとします。

反り腰など骨盤の傾斜によるもの

姿勢の傾きが骨盤の傾きによるケースもあります。反り腰は腰が反った状態です。お尻が後ろにでて、頭部が前に出る姿勢です。おなかが伸びた状態ですので、ぽっこりお腹にもなりやすいです。下記の4つの姿勢はストレートネックが起こりやすい代表的な例です。姿勢5選

O脚X脚、浮き指、外反母趾など下半身の問題

O脚X脚は、股関節の状態に影響されて引き起こされていることがあります。浮き指は足の指が地面から浮いた状態。外反母趾は足の親指が外に向いてしまっている状態です。これらの脚の問題が腰の傾きを引き起こし、胸や背中の位置に影響し、頭部が前に出るケースもあります。

このようにストレートネックの原因は首まわりにとどまらず様々です。全身の姿勢を見直すことで改善されることが多いです。

text neck
なるべくうつむかないで、右図のようにスマホを上にあげて見ることで首のカーブが保たれます

 

2.ストレッチポールを使った運動がストレートネックに効果的な理由

ストレッチポールで改善した女性

ストレッチポールの運動を日常的に行うことで、ストレートネックが改善する可能性があります。上の写真は、あるOLさんが昼休みにストレッチポールの運動を10分間おこなった結果の改善例です。

この女性は、午前中にパソコン画面をのぞきこむ作業を集中的に行っており、わずかですが頭部が前に出ていました。ストレッチポールの運動を行うことにより、正常に近い状態になりました。

ストレートネックが改善したと同時に、巻き気味の肩も戻り、胸が張りました。骨盤についても前傾(反り腰)ぎみだったのですが「骨盤が立った状態」になり、全身の姿勢が大きく改善しました。

なぜこのようなことが起こるのか、この章で説明します。

2−1.ストレートネックを改善する3つのポイント

改善にはストレートネックを生み出しているポイントにアプローチすることが必要です。

本来のまっすぐな軸を身体にイメージさせる →頭部が前に出た状態ですから、本来の現状よりやや後ろに位置した状態を自然に戻させ、その状態が無意識でできることを行います。

首まわりの筋肉をゆるめる →ストレートネックに直接関係している首まわりの筋肉をゆるめましょう。首周辺や背中側の肩甲骨周辺はテンションがかかり、パンパンの状態です。巻き肩ぎみになっていることも多いです。

上半身から腰までの筋肉をゆるめ伸ばす →上半身の筋肉が縮こまると猫背姿勢になりがちです。骨盤の傾きが前になっているケースも少なくありません。緊張した筋肉を緩めることより身体がまっすぐになりやすくなります。

2−2.ストレッチポールで3つのポイントがラクにできる!

前項であげた3つのポイントは、セルフでやろうとすると意外と大変です。

しかし、ストレッチポールを使うことで、上記のポイントを ・すべて ・簡単に  ・短時間で ・ひとりで  ・脱力してリラックスしながら ・効果的に 行うことができます。

ストレッチポールの上に仰向けで縦に乗ると、後頭部、背中、腰の三点のみツールと接することになります。この状態が本来の正しい位置です。床などの平面上ではこのような一本の正しい軸を意識することは難しいのです。

ストレッチポールの上に仰向けで縦に乗っただけで、首まわりや肩はもちろん、胸、背中、腰の筋肉が自分の体重で優しくストレッチされます。

その上で呼吸したり、小刻みな振動を加えることで、ストレッチだけではむずかしい、深層部の筋肉までをも緩ませ、骨の配列を本来の状態に戻す効果が生まれます

ストレッチポール運動の効果

ストレッチポールのエクササイズが姿勢改善の可能性があることは、複数の研究論文で明らかになっています。 参考:ストレッチポールエクササイズが立位アライメント、動的姿勢制御に及ぼす影響 /松島ら 24回日本保健科学学会学術集会 その他の「ストレッチポール 姿勢」に関する論文もCiNiiに収録されています。

次項では、いよいよ改善のためのエクササイズをご紹介します。

3.ストレッチポールを使ったストレートネック改善運動

ここでは、誰にでも効果を実感していただけるストレートネック改善のためのエクササイズをご紹介します。

 

3-1.ベーシックセブン 胸ひらき運動

はじめに胸をストレッチして胸をひらいていきます。胸が広がると同時に、背中、肩甲骨まわり、首の下の筋肉がゆるめられます。

胸ひらき運動

エクササイズ方法:
ストレッチポールに仰向けに横になります。
ヒジと手の甲を床につけ、胸の高さまで床をすべらせながら上げます
この時、突っ張る感覚があるとストレッチがかかり過ぎているので、無理に胸の高さまで上げず、気持ちよく感じる場所までにしましょう。

ポイントはあまり伸ばし過ぎず胸が適度なストレッチ感を感じる程度に広げることです。カラダの動かせる範囲は個人差があります。胸の高さはひとつの目安。気持よく伸びていない、またはそこまで上げることができない。という場合は無理せずにできる範囲で腕を広げていきましょう。

胸をひらいた状態で自然に呼吸を行い、20~40秒を目安に行いましょう

3-2.ベーシックセブン 床磨き運動

床磨き運動は、肩甲骨に振動を与え周囲の筋肉をほぐす効果があります。

床磨き運動
エクササイズ方法:
ストレッチポールに仰向けで横になります。ヒジと手の甲を床に着けた状態で手の甲で床に小さな円を描きます。
時計回りや反対回りに回しながら、自分の回しやすい方や回しにくい方を感じてみましょう。

ポイントはあまり大きな円を描くことではなく、肩甲骨周りへの小刻みな振動を加えることです。手で描く円は500円玉位をイメージすると良いでしょう。

自然な呼吸で自分のリズムで10~20回ほどを目安に行いましょう

3-3.ベーシックセブン 肩甲骨の運動

肩甲骨の運動では、肩甲骨全体の筋肉をほぐすことができます。同じ姿勢を長時間し続けていたことで固まってしまった肩甲骨を動かすことが出来るようになります。肩が重い時などにも効果的です。

肩甲骨の運動

エクササイズ方法:
ストレッチポールに仰向けに横になります。両手を天井に向かって引き上げて、肩の付け根から降ろします。

手を下すとき、一気に落としてしまうと筋肉が緊張したり、場合によっては痛みの原因になることもあるので、下す時は脱力した状態で出来る一定の速度で行うと効果的です。ヒジが曲がらないようにしてください。

引き上げと降ろすことの繰り返しを、ゆっくりなペースで10~15回行いましょう。あげる向きを真上だけではなく、みぞおちの方へもあげて行ってみてください。

ベーシックセブンの運動は全部で10あります。いずれもカラダに無理なく心地よく行っていただけるものです。別記事「ストレッチポールの効果と誰にでも効果が得られる使い方」の中で方法を詳細に解説してありますので、そちらもご参照ください。

3−4.ストレートネックには「首まわりの運動」も併せておこなう

以下の方法は、首や背中まわりをさらにゆるめたい方にオススメする方法です。

首まわりの運動1 ”ツイスター”

ツイスター

カラダをねじる運動です。基本姿勢から、両手を天井方向に伸ばし片側の手でもうひとつの手首を握ります。

握った方の手を床に付けます。両足は、腕とは逆の方向に倒します。自然な呼吸のまま、ゆっくり10カウント数えてください

体勢をもどし、反対側も同様に行います。1セットだけでも効果がありますが、2〜3セットおこなっていただいて構いません。

首まわりの運動2 ”クレッセント”

クレッセント

カラダをクレッセント(三日月)の体勢にする運動です。基本姿勢から右手を頭の方に伸ばします。右足も伸ばします。そのまま左に少し倒れます。

カラダの右側がストレッチされることを感じてください。通常はここまでですが、今回はストレートネック用にさらにダイナミックに行います。右ヒジで右手を折り曲げ、頭部にタッチするようにします。

ゆっくり10カウント数えて反対側も行ってください。2〜3回繰り返してもかまいません。(痛みを感じる場合は行わないでください)

ストレッチポールを使用した「肩甲骨の運動」は他にもあります。YouTubeにまとめてありますのでそちらをご覧ください。

【ストレッチポール】胸郭の運動 ソラコン

4.まとめ

休憩時間や1日の終わりに、 ストレッチポールを使用してカラダをリセットすることでストレートネック改善につながります。お持ちの方はぜひ活用していただき、掲載したトラブルとは無縁の健康的なカラダを手に入れて下さい。