
愛媛県宇和島市。市街地から少し離れた山間部に、体幹ケアのスタジオを構えるトレーナーがいます。
川口みどりさん。長年にわたり地域に根ざし、子どもから高齢者、そして企業まで幅広い層の身体と向き合ってきました。

木の温もりを感じるスタジオには、今日もさまざまな人が集います。
その一人が、愛南町から車で約1時間かけて通う女性。お友達と一緒に、定期的にセッションを受けています。
以前は膝の痛みに悩み、杖をついて歩いていました。不便さだけでなく、「人の目が気になる」という思いもあったといいます。


しかし今では、反復横跳びができるまでに回復。趣味の卓球も再び楽しめるようになりました。
「できなかったことが、またできるようになる」
その喜びが、通い続ける理由です。
川口さんにとって、こうした変化は特別なことではありません。
けれども、そこには確かな哲学があります。
川口さんに原点を尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「子どもの頃の夢は、スーパーヒーローになることでした。」

みんなを助けられる存在になりたい。
困っている人の力になりたい。
その思いは、形を変えながらも今も変わりません。
ヒーローのように空を飛ぶことはできなくても、目の前の人の身体を軽くすることはできる。
体が動けば、気持ちも前向きになる。
その積み重ねが、地域の元気につながっていくと信じています。

川口さんの活動は、スタジオの中だけにとどまりません。
宇和島市内の水産会社では、健康経営の一環として体幹ケアを導入しています。

未明から始まる過酷な業務。重労働でダメージを受けた体を、週に一度、業務時間の最後にリセットする時間を設けています。
社員の皆さんは、川口さんのセッションを受けながら、自分の身体と向き合うひとときを持っています。
「疲れが抜ける」
「次の日の体の軽さが違う」
そんな声が現場から上がっています。
体幹ケアは、単なる運動ではなく、働き続けるための土台づくりでもあるのです。

川口さんは、日本コアコンディショニング協会(JCCA)の一員でもあります。
「JCCAの仲間は絆が深い」と語ります。
地域が離れていても、悩みや課題を共有し合い、学び続ける仲間がいる。
一人で活動しているようでいて、決して一人ではない。
そのつながりが、川口さんの活動を支えています。
ここからは、別日に改めて伺ったお話です。

川口さんが体と向き合う道を歩み始めたのは、ヨガとの出会いがきっかけでした。
寿司屋のおかみさん稼業をしていた当時、限られた時間の中で通えるのがヨガだったといいます。

しかし、ある違和感を抱きます。
「なぜか、指導者も受講者も体を痛めている。」
良かれと思って続けているのに、どこか無理が生じている。
その疑問が、探求の始まりでした。
そこで出会ったのが、ストレッチポール®を活用した体幹ケア。
体を整え、リセットするという考え方に、これだと直感したそうです。
川口さんには、今も戒めにしている出来事があります。

あるクライアントさんが、セッション後に驚くほど動けるようになりました。
「これは良い方向に進んでいる」と確信していた川口さん。
しかし、その方はその後スタジオに来なくなりました。
理由はシンプルでした。
「筋肉痛がひどから」
このクライアントさんが求めていたのは「そこまでの変化」ではなかったのです。
この経験から学んだのが、「お客様ファースト」という姿勢。
良いと思うことを押し付けるのではなく、その人が何を望んでいるのかを見極める。
変化のスピードも、目標も、その人に合わせる。
それが、今の指導スタンスの土台になっています。
川口さんは語ります。
「体幹ケアは、これからの時代、なくてはならないものになると思います。」
高齢化が進み、働き方が変わり、身体への負担が増す現代。
自分の体を自分で整える力は、ますます重要になります。
みんなを助けられる存在になりたい。
子どもの頃の夢は、今も形を変えて生き続けています。

宇和島の山間から、
今日も一人ひとりの体と向き合いながら。
今回の取材は動画でもご覧いただけます。