骨盤底筋と呼吸の関係とは?インナーユニットから考える深い呼吸の仕組み

最近、呼吸が浅い気がする」

「肩や首がいつも張っている」

「疲れやすく、なかなかリラックスできない」

そんな悩みを抱えている方は少なくありません。

呼吸というと肺の働きをイメージする方が多いと思いますが、実は呼吸は肺だけで行われているわけではありません。

呼吸には横隔膜をはじめ、体幹深部にあるさまざまな筋肉が関わっています。

その中の一つが「骨盤底筋」です。

骨盤底筋というと尿もれ対策の筋肉という印象が強いかもしれません。しかし実際には、骨盤底筋は呼吸とも深い関係があります。

今回は、骨盤底筋と呼吸の関係について、インナーユニットという考え方をもとに解説していきます。

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助産師に聞きました

堀田 久美

助産師 / 東京大学大学院博士課程修了

助産師として多くの女性の健康をサポートする中で、骨盤底筋トレーニングの重要性を実感しています。骨盤底筋は排泄のコントロールや姿勢の安定に関わる重要な筋肉ですが、意識的に鍛えなければ衰えやすい部分です。その機能が低下すると、尿漏れや便漏れ、骨盤臓器脱などのトラブルにつながります。これらを予防・改善するには、正しい方法で一定期間以上、骨盤底筋トレーニングを続けることが大切です。

呼吸が浅いとどんな影響がある?

私たちは1日に約2万回以上呼吸をしています。

その呼吸が浅くなると、体にはさまざまな影響が現れます。

疲れやすくなる

呼吸が浅い状態では、体内に十分な酸素を取り込みにくくなります。

すると疲労感が抜けにくくなり、活動中もエネルギー不足を感じやすくなります。

肩や首がこりやすくなる

本来、呼吸の主役は横隔膜です。

しかし呼吸が浅くなると、首や肩まわりの筋肉を過剰に使って呼吸を補うようになります。

その結果、肩こりや首こりにつながることがあります。

ストレスを感じやすくなる

呼吸と心の状態は密接に関係しています。

緊張しているときは呼吸が浅くなり、逆に呼吸が浅い状態が続くことで心身の緊張も抜けにくくなります。

睡眠の質が低下しやすくなる

呼吸が浅いとリラックスしにくくなり、睡眠の質にも影響を与えることがあります。

寝ても疲れが取れない、夜中に目が覚めるといった悩みの背景に呼吸の問題が隠れている場合もあります。

姿勢が崩れやすくなる

呼吸と姿勢は切り離せません。

呼吸が浅い人は胸や肩に力が入りやすく、猫背や巻き肩などの姿勢不良につながることがあります。

呼吸は肺だけで行われているわけではない

呼吸というと肺が膨らんだり縮んだりするイメージがあります。

しかし肺そのものには筋肉がありません。

肺を動かしているのは周囲の筋肉です。

その中でも特に重要なのが横隔膜です。

横隔膜は胸とお腹を隔てるドーム状の筋肉で、息を吸うときに下がり、息を吐くときに上がります。

この動きによって肺が膨らみ、空気が出入りしています。

呼吸を支える「インナーユニット」とは

呼吸には横隔膜だけでなく、体幹深部の筋肉群も関わっています。

日本コアコンディショニング協会(JCCA)では、以下の4つの筋肉をインナーユニットと呼んでいます。

  • 横隔膜
  • 腹横筋
  • 多裂筋
  • 骨盤底筋

これらは体幹の深い部分で連携しながら働いています。

インナーユニットの主な役割は、

  • 姿勢を安定させる
  • 腹圧を調整する
  • 呼吸をサポートする

ことです。

例えば重い荷物を持つときや立ち上がるとき、歩くときなど、日常のあらゆる動作でインナーユニットは働いています。

呼吸も例外ではありません。

骨盤底筋と呼吸はどのように連動しているの?

骨盤底筋は骨盤の底にある筋肉群です。

膀胱や直腸などの臓器を支えるハンモックのような役割を担っています。

実はこの骨盤底筋、呼吸のたびに動いています。

息を吸うとき

息を吸うと横隔膜が下がります。

すると内臓もわずかに下方向へ移動します。

それに合わせて骨盤底筋も下方向へ動きます。

息を吐くとき

息を吐くと横隔膜は上がります。

内臓も元の位置へ戻ろうとし、それに伴って骨盤底筋も上方向へ戻ります。

つまり骨盤底筋は呼吸と連動して、常に上下に動いているのです。

骨盤底筋は特別な運動をするときだけ使われる筋肉ではありません。

呼吸をするたびに働いている、とても身近な筋肉なのです。

インナーユニットの協調性が乱れるとどうなる?

呼吸で大切なのは、一つの筋肉の強さではありません。

インナーユニット全体が協調して働くことです。

もし協調性がうまく保てなくなると、さまざまな問題が起こりやすくなります。

呼吸が浅くなりやすい

横隔膜を十分に使えず、胸だけで呼吸するようになることがあります。

腹圧を保ちにくくなる

腹圧が適切にコントロールできないと、体幹の安定性が低下しやすくなります。

姿勢が崩れやすくなる

インナーユニットがうまく働かないと、猫背や反り腰などの姿勢不良につながることがあります。

体が緊張しやすくなる

呼吸が浅くなることで肩や首の筋肉を過剰に使いやすくなり、筋緊張が慢性化しやすくなります。

呼吸と自律神経の関係

呼吸は自律神経とも深く関わっています。

自律神経には、

  • 活動モードの交感神経
  • リラックスモードの副交感神経

があります。

呼吸が速く浅いときは交感神経が優位になりやすく、緊張状態が続きやすくなります。

一方で、ゆっくりとした深い呼吸は副交感神経が働きやすい環境をつくります。

そのため、

  • リラックスしやすい
  • 寝つきが良くなる
  • 睡眠の質が向上しやすい

といった変化が期待できます。

骨盤底筋は直接自律神経をコントロールするわけではありません。

しかし、呼吸に関わるインナーユニットの一員として、結果的に呼吸の質やリラックス状態に関係していると考えられます。

あなたの呼吸は大丈夫?セルフチェック

次の項目にいくつ当てはまるでしょうか。

□ 肩が大きく上下する呼吸をしている

□ 猫背気味である

□ デスクワークが多い

□ ため息が多い

□ 肩や首がいつも張っている

□ 緊張しやすい

□ 睡眠の質が気になる

□ 腹式呼吸が苦手

当てはまる項目が多い方は、呼吸の質を見直す余地があるかもしれません。

呼吸を見直すことは骨盤底筋を見直すこと

呼吸は肺だけの働きではありません。

横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋というインナーユニットが協力しながら行われています。

そのため、呼吸を見直すことは体幹を見直すことでもあり、骨盤底筋を見直すことにもつながります。

呼吸が浅い、疲れやすい、肩や首がこる、姿勢が気になる。

そんな方は、呼吸だけを見るのではなく、体幹深部の働きにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

骨盤底筋は、呼吸を支える大切なパートナーの一つなのです。