「骨盤底筋」という言葉を耳にしたことはありますか?
最近ではテレビや雑誌、SNSなどでも取り上げられる機会が増え、「尿漏れ予防のために鍛える筋肉」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
しかし、骨盤底筋の役割はそれだけではありません。
実は骨盤底筋は、
など、私たちが毎日何気なく行っている活動を支える重要な筋肉です。
ところが、多くの人は骨盤底筋がどこにあるのか、どのように働いているのかを知りません。
なぜなら骨盤底筋は「見えない」「感じにくい」「動かしにくい」という特徴を持っているからです。
今回は、そんな不思議な筋肉である骨盤底筋について、わかりやすく解説していきます。
骨盤底筋とは、その名の通り骨盤の底にある筋肉群の総称です。

骨盤の中には、
などの重要な臓器が収まっています。
骨盤底筋は、それらの臓器を下から支える「ハンモック」のような役割を担っています。
もし骨盤底筋がなければ、内臓は重力によって下へ押し下げられてしまいます。
また、骨盤底筋には排尿や排便をコントロールする役割もあります。
さらに近年では、体幹の安定や呼吸との関係についても注目されるようになっています。
つまり骨盤底筋は、単なる「尿漏れ対策の筋肉」ではなく、私たちの身体を支える土台ともいえる存在なのです。
骨盤底筋は骨盤の最も下にあります。
ちょうど骨盤の出口をふさぐように広がっており、膀胱や子宮、直腸などを支えています。
しかし、お腹の筋肉や太ももの筋肉のように外から見ることはできません。
そのため、多くの人は自分の骨盤底筋がどこにあるのかイメージできないまま生活しています。
まずは「骨盤の底にあるハンモック状の筋肉」と覚えておくとよいでしょう。

骨盤底筋はとても重要な筋肉ですが、一般的な知名度は決して高くありません。
その理由は単純です。
見えないからです。
例えば腕の筋肉であれば鏡で見ることができます。
脚の筋肉も触れば存在を確認できます。
しかし骨盤底筋は身体の奥深くにあるため、普段その存在を意識する機会がありません。
さらに、学校教育や部活動などでも骨盤底筋について学ぶ機会はほとんどありません。
そのため、多くの人は尿漏れや不調が現れて初めて骨盤底筋の存在を知ることになります。

骨盤底筋は骨盤の内側に位置しています。
骨や内臓の奥にあるため、鏡で確認することはできません。
レントゲンやMRIなどの医療機器を使わなければ直接観察することは難しい筋肉です。
私たちは普段、自分の目で見えるものを理解しやすい傾向があります。
しかし骨盤底筋は見えないため、その重要性が伝わりにくいのです。
骨盤底筋はインナーマッスルの一種です。
インナーマッスルとは身体の内部に存在する筋肉(深層筋)のことです。
例えば力こぶを作ると上腕の筋肉、特に表層の筋肉が硬くなったことを感じられます。
一方で骨盤底筋は表面から見えない場所にあり、動きも小さいため、収縮していても感覚をつかみにくい特徴があります。
実際に運動指導の現場でも、
「骨盤底筋を締めてください」
と言われて、
「どこに力を入れればいいかわからない」
という方は少なくありません。
感じにくいこと自体が自然なことなのです。
骨盤底筋は普段から無意識に働いている筋肉です。
皆さんとしても、自分で意識したり、自分の意思で動かす経験がほとんどなかったでしょう。
また、骨盤底筋を意識しようとすると、
など別の筋肉に力が入ってしまうこともあります。
実際、多くの方が「締めているつもり」でも、本当に骨盤底筋を使えているとは限りません。
だからこそ、正しく感覚をつかむためのトレーニングやサポートツールが役立つのです。

骨盤底筋は意識しにくい筋肉ですが、実は毎日働いています。
その代表が呼吸です。
息を吸うと横隔膜が下がります。
それに合わせて骨盤底筋もわずかに下方向へ動きます。
反対に息を吐くと横隔膜が上がり、骨盤底筋も元の位置へ戻ります。
つまり呼吸をするたびに、骨盤底筋も連動して動いているのです。
骨盤底筋は「使っていない筋肉」ではありません。
正確には「使っているけれど感じにくい筋肉」なのです。

骨盤底筋はさまざまな身体機能に関わっています。
骨盤底筋は尿道を支え、排尿をコントロールしています。
筋力が低下すると、くしゃみや咳をした際に尿漏れが起こりやすくなります。
骨盤底筋はインナーユニットの一員です。
働きが低下すると、猫背や反り腰などの姿勢不良につながることがあります。
横隔膜と協調して働くため、呼吸の質にも影響します。
排便時の腹圧調整にも関わるため、便秘との関連が指摘されています。
声を出すためには適切な腹圧が必要です。
骨盤底筋はその土台を支える役割を担っています。
骨盤底筋と呼吸は密接に関係しています。
呼吸が整うことでリラックスしやすくなり、自律神経のバランスを保つ一助になると考えられています。

骨盤底筋の働きが低下すると、
といったサインが現れることがあります。
もちろん原因は一つではありませんが、骨盤底筋の機能低下が関係しているケースも少なくありません。

骨盤底筋は外側からは見えません。
触ることも難しく、動かしている感覚もわかりにくい筋肉です。
そのため、私たちはその存在を忘れがちです。
しかし骨盤底筋は、尿漏れだけでなく、姿勢や呼吸、排便、発声など、毎日の生活を支える重要な役割を担っています。
だからこそ、まずは骨盤底筋の存在を知り、自分の身体に意識を向けることが大切です。

助産師に聞きました
堀田 久美
助産師 / 東京大学大学院博士課程修了
骨盤底筋は太ももや腕の筋肉のように大きな筋肉ではありません。そのため強く力んだり、息を止めて踏ん張ったりするトレーニングは逆効果になることがあります。お尻の穴を軽くすぼめるような感覚で、小さく正しい動きを意識することが大切です。
次の記事では、「骨盤底筋が弱い人の特徴」について詳しく解説します。
興味のある方はぜひ読み進めてください。